先生の手が触れる時

「わかってた。……育ててくれた親は何も悪くないのも…本当の親のように変わらず愛してくれてたことも」
「うん…」
「でも…どっかで…否定してほしかったんだ。お前は、俺らの子供だ、何言ってんだって言ってほしかったんだろうな」

先生は目を閉じて少し微笑んだ

そして私の目を見つめると困ったように笑う

「ばか。……どうして、そんな顔をしてる」
「……だって……」

私は、どうしたら良いんだろう

どうしたらこの人を支えられるかな

「そのまま逃げるように、俺は大学の寮にはいった。気持ちの整理がついたら家に行こうと思ってた…」
「………」
「だけど…母親の方が……寮に入ってすぐ亡くなった」
< 176 / 342 >

この作品をシェア

pagetop