先生の手が触れる時
影
あの日、先生の過去を聞いた日から数日が過ぎた
もう8月に入り、外ではうるさくセミが鳴いている
「……あー暑い……」
あの日から何だか美術室に行きづらくなって
そのままお盆に入り、私は一人家でゴロゴロしてた
すると携帯が鳴った
プルルルルル
「……はい」
『あぁ、私よ』
電話から聞こえたのは優人のお母さんの声だった
「千冬さん」
『……優人、そっちに来てる?お姉ちゃんのとこいってくるーって言って出ていったのよ』
「まだ、来てませんよ」
『あら。ほんと?じゃあ、来たら教えてもらえるかしら?』
私は、わかりました、といって電話を切る