先生の手が触れる時

「………嫌だ………」

か細い声はどこにも届かず宙に舞う

視界がぼやけ、涙が頬を伝う

はだけた服に、近くにある自分の下着

「……」

父の手が体をなぞるのをどこか遠くで感じ

ふと、目線が壁にかかってる夕日の絵に留まる

先生。

先生。

「………きれい……」

思わずそう声に出す
父はそれすらも気づかず、私の体を貪る

「……ごめん…なさい」


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