先生の手が触れる時

凜のまっすぐな瞳に見つめられ
私はゆっくり口を開いた

「………凜……私は、父親から…ただの暴力だけじゃなくて……性的なことも受けてる…」
「っ!」

凜が固まったのがわかった

「…ただの暴力だけなら……いくらでも助けを求められた……でも…こんなことされてるなんて……言えなかった…」

その言葉に凜は息を呑んだのが分かる。
訪れる沈黙。それを破ったのは凜の震える声だった

「……な……ぎ…」

うつむいていた顔をあげると、そこには固まったような顔のまま泣く凜

「……凜……」
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