先生の手が触れる時

私は、ずるい

先生にこんな顔させて
自分も泣いて
泣く資格なんてないのに

「………行け、凪…」
「せん、せい…」
「お前を苦しめてる物から…遠くに行けるなら……俺が離れることで…お前が幸せになれるなら……行け」

先生が笑う

今度はちゃんと優しい笑顔

なのに

余計苦しくなる

でも…

「……はいっ………」

そのまま私は、先生に背を向けてドアに向かう
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