先生の手が触れる時

しぶしぶそれを持つ私を見て、また歩き出す吉宮くん

すると吉宮くんが急に振り返る

「俺のこと…くんづけしなくていい」
「………え」
「くんづけされるの、苦手なんだ」

そう言うとまた歩き出す吉宮くん

「うーん…でも、吉宮って…なんか」
「………じゃあ、好きに呼べば良い」
「…そうなると、晴夏くん、とか?」
「くんづけ…」
「あ、じゃあ、晴夏?」
「………それでいい」

興味がなさそうに晴夏は前を向いたまま答える
私は少し駆け足で晴夏の横に並ぶ

「私も、凪で良いよ」
「…………」

何も答えず晴夏は私を見て、はぁ、とため息をつく

「……わかった」

そう呟いた
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