先生の手が触れる時

「…大声だして…悪い。先生のことは結構前から気づいてた……俺が聞きたいのはそっちじゃない…」

そう冷静さを取り戻して凪を見つめれば諦めたようにため息をついた

「………晴夏がさっき聞いたそのままの意味だよ…」

他人事のように凪はそう呟くと
父親との関係を話し出した

父親が体を求めてきたこと。
暴力をふるわれてたこと。
話してる間、凪は表情をほとんど変えなかったが、その瞳にはたしかな悲しみが存在していた

「……行為の最後には…絶対…ごめん、千代子って呟いてた…」

凪が最後に溢したその言葉に思わず反応する

「千代子………?」
「…え、晴夏知ってるの?」

凜が俺に問いかける

「…なんで、晴夏が私のお母さんの名前知ってるの?」

凪がそう言った瞬間、なんとなく繋がった気がした
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