先生の手が触れる時
「……晴夏?」
思わず声をかければ、晴夏は瞳を閉じてベッドの横にある椅子に腰かける
「………凪にとって…緑川先生はどんな存在だったんだ?」
どんな、存在?
「………先生は…」
そう聞かれて、今まで思い出さないようにしていた先生との思い出が一気に溢れてくる
「……先生は……私を暗闇から引き上げてくれた……諦めかけてた私に光をくれた……事情だって何も知らないのに…助けたいって言ってくれた」
「…………っ」
気がつけば、私の瞳からは涙が流れていた
頬を伝い、ベッドのシーツに染みを作っていく
「……私にとって…先生は…」
“誰よりも大切な存在”
そう言葉を続けようとしたけど、それを遮るように晴夏が私を引き寄せた