先生の手が触れる時

え………？


一瞬、何が起こったか分からなかった

ただ、私の視界には晴夏のジャージがめいっぱい広がってて
細いのにしっかりした腕が私をしっかり抱き締めていた

「………晴夏…？」
「………凪…」

そう耳元でささやかれる

「辛いのに頑張ろうとしなくて良い…お前が倒れそうなときは俺が支えてやる…」

そう言って、晴夏は私の体を離す
そして曇りのない瞳で私を見つめる

「………俺はアイツが持ってるものを、持ってないと思う。それでも…凪を大事に思う気持ちは……誰にも負けない」
「はる…か」

私はただ、晴夏の瞳を見つめ返すことしかできない
晴夏は涙で濡れた私の頬をなでる