先生の手が触れる時
夏休み明けよりも伸びた前髪に眼鏡。
そして色の着いた白衣。
俺はゆっくり立ち上がる
「……どした?」
「いや、体育でちょっと。先生は?」
「あー…うん。保険の先生に頼まれて、鍵閉めに来たんだ」
緑川先生はそう笑うと、鍵を見せる
本当に?
中に凪がいるのを知ってるから来たんじゃないのか?
そんな言葉が出そうになるのをギリギリのところで止める
「……まだ、中に人がいますよ。後でにしたらどうですか?」
「あぁ、そうなんだ。じゃ、また後で来るか」
そう言って、緑川先生が背を向けた
「あの!」
俺はたまらずその背中に声をかける