先生の手が触れる時
不思議そうな顔でこちらを見る先生
「……なんで、必死にならないんですか」
気がついたらそんな言葉が口から零れた
一瞬、緑川先生の表情が強張ったが、すぐに先生は微笑む
「………何がだよ?」
馬鹿だな。
そんな顔をしたら、俺の言葉の意味に気づいてますって言ってるようなもんだ
俺はぐっと唇に力をいれて先生を見つめる
「……いえ。何でも」
俺はそういって、緑川先生の横を通りすぎる
その時、先生の鍵を持つ手に力がこもったのを俺は見逃さなかった