先生の手が触れる時
アイツの傷に触れることを心のどこかで遠ざけた
怖かった。
その傷を知って自分が救うことができなかったら
あの子は幻滅するだろうか
「……そうだよ…俺は…あの子から逃げた。ずっと…人と正面切って話すことから逃げてきた…そして、一番救わなきゃいけないあの子と…向き合うことを恐れた」
ぐっと爪のあとが残るほど自分の手を握りしめた
「………それがわかってんのに…なんで今、必死にならない?」
「!」
「……お前がずっとその弱さを見て見ぬふりするなら……そのライバルとやらに渡せ。お前が今、あの子のそばにいたとしても……救えないだろうよ」
渡す?
深山が前に、あの子はいつか壊れる、とそう言っていた
俺は、文化祭の日
吉宮の前で泣いている凪を見てそのまま吉宮の前から奪いさって、この手でその涙をぬぐいたいとまで思った