先生の手が触れる時
「でも、ひとつ。聞いておきたいの」
「?」
私が首をかしげると、凜は私の目をとらえる
「……先生のこと…今はどう思ってるの?」
「…………え?」
「まだ…好きなんじゃないの…?」
そう聞かれて思わず言葉がつまる
そんなことない。
そう言おうとして、ぐっと唇を噛み締めた
「………凪……?」
そっと凜は私の名前を呼ぶ
「…わからないの。別れてからずっと先生のことを避けて…先生の顔を見ないようにしてきた……」
別れてからずっと先生への気持ちを確かめられずにいた
怖いんだ、私は
先生と向き合うことが
「それに…もし、また私が先生に近づいたら……お父さんは本当に…先生を…」
そこまで言ったとき、握りしめてた手に凜の手が重ねられる