先生の手が触れる時
「……ごめん…困らせたかった訳じゃない……」
晴夏はぼそり、と視線を窓に向けながら呟いた
「晴夏…」
「悩ませてたなら…悪い。大変なときに…悩みを増やした」
「そんな!……そんなことないよ…」
私は慌てて首を横にふる
「……嬉しかった…そんなこと言ってくれる人、いなかったから…」
いたたまれなくて、下を向けば
晴夏は少しの沈黙のあと
「そうか」
そういって立ち上がった
「……凪が落ち着いたらでいい。帰るのあんま遅くなるなよ」
晴夏は私の頭をぽんぽん、と叩いてそのまま出ていってしまった