先生の手が触れる時


私は振り返ることもせずに、走り続けて
気がつけば教室に戻ってきていた

そして自分の机の前で、ぺたん、と座り込む

「……あ……っ…う…」

机に置いたままの手に額を押し付けてひたすら泣いた

気づいてしまった

私は、もう

戻れないんだ

ずっと気づかないふりをしていた
先生を見ないことでその気持ちを殺して
そのまま消えてしまえば良いと思った

でも、あの絵を見たとき
先生の声を聞いたとき
先生の顔を視界に映したとき

その気持ちが全く消えてないことに

気づいてしまった

向き合うのが怖かったのは
その気持ちに気づいてしまうのが分かっていたから

もう、知らないふりはできない

私は

先生が好きだ
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