先生の手が触れる時
暗闇
雪夜side
「…………」
一人、廊下で彼女の腕を掴んだ自分の手を見つめる
走り去った後、しばらくそのままでいると
後ろから足音がして漸く我にかえる
美術室に戻ろうと振り向いた瞬間足を止める
「………吉宮…」
「……どうも」
そこには吉宮が立っていた
いつからいたんだ?
見ていたのか?
聞かなきゃいけないことは沢山ある
今の状況をみられてたら誤魔化さなくてはいけない
なのに、俺の頭はそんなことを考えられるほど冷静ではなかった
「……何、やってんすか。生徒に」
吉宮が冷たい眼差しで俺をみている
「…何やってる、か」
「え?」
俺はもう一度、握りしめてた手に視線を落とした