先生の手が触れる時
「………簡単に引くつもりもないです…凪が苦しんでるのに、何もしないなんて嫌ですから」
その真っ直ぐな言葉が俺の胸に突き刺さる
「…先生、凪が苦しんでる理由…知らないんですよね?」
「………あぁ」
俺がうなずくと、吉宮は少し考える素振りをして俺を見つめる
「…先生は…それを無理にでも知ろうとは思わなかったんですか?」
「………初めは…思ってなかった。遠野が言いたくないならそれでも構わないと思ってたよ…けど」
ぎゅっと決意を固めるように手を握りしめた
「もう、そんなことは言ってられない。無理にでも俺は知りにいくつもりだ…だから」
俺は吉宮に向かって頭を下げる
「ちょ、ちょっと!」
「……何か、知ってるなら…教えてくれ。頼む」
プライドとか生徒だからとかそんな事は構ってられない
今すぐにでも、あの子を助けなきゃいけない
もう苦しんでほしくないんだ