先生の手が触れる時
しばらくの間、俺と吉宮の間には沈黙が流れる
「………先生…」
その沈黙をやぶったのは吉宮だった
「………っ」
「…まったく……情けない人かと思ったけどそんなことない…。生徒に頭を下げられる人なんてそうそういませんよ…」
そっと顔をあげれば、恐ろしく真面目な顔をした吉宮がいた
「俺もこないだ知ったばっかなんで…詳しいことは…分かんないんです……だけど…」
吉宮は言葉を紡ぐごとに何かを噛み締めるように苦しそうな顔をする
その顔を見て、何となく続く言葉は理解できた
「……父親、か」
「………知ってるん、ですか…」
吉宮の顔が驚愕の色に染まっていく
あぁ、やっぱり
そんな感情が涌き出てくる
これで証明されてしまった
あの子の苦しみの元凶が