先生の手が触れる時

晴夏side


「はぁー………」

凪の去っていった後ろ姿を見えなくなるまで見つめ

ため息をつきながら空を見上げた

わかってた。

あの日、美術室前で先生に手を捕まれた凪の表情を見て
あぁ…凪の中には先生しかいないんだって
そう感じた

いや。

ずっとそうだったのかもしれない

凪の中にはいつも先生がいた

けど俺は、その存在に気づかないふりをして凪の中に入ろうとしたんだ

その存在の大きさを知ってた。

それでも

彼女を助けたいと強く願い
彼女の笑顔も泣き顔も怒った顔も全部自分のものにしたいと思った



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