先生の手が触れる時

今日、校門の前で凪を見つけたとき

嬉しかった。

でも、俺を見つけた凪の顔を見て
フラれることを感じた

分かっていたけど言葉にされると辛いものはあるもんだな…

ごめん、と頭を下げた凪は辛そうで

でもその瞳は真っ直ぐで、今まで見た凪の中で一番綺麗だった

凪の頭を下げた姿が、緑川先生と重なった

先生の目もどこまでも澄んでいた
彼は、俺が真っ直ぐだと言ったけれど

俺にとったらずっと先生が憧れだった

凪を思うことへの真面目さも
凪を助けるために生徒に頭を下げることも

「くそ………完敗かよ…」

そう呟いて、握りこぶしを額に当てる


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