先生の手が触れる時


ごめん。

そう心で呟いた


私はずっと逃げている

父と向き合おうといいながら怖くて逃げて逃げて

結局、一番傷つけたくない人を傷つけてしまった

父をあんな風にさせてしまったのは私のせいでもある

本当は、分かってた

父は、いつも私を通り越して誰かを見てたことも
私を傷つけたあと、誰よりも傷ついていたことも
父がもう後戻りが出来なくなっていたことも

そんな父を助けようともしなかった私は

一番、残酷だ

だから…

私はある場所で足を止めた



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