先生の手が触れる時
私は父の家を後にすると
学校に向かった
行く場所はもう決めてる
「………」
廊下を歩いてるとブラスバンド部の音が聞こえる
校庭では陸上部が声を出して走ってる
私はそんな風景を見ながら階段を上っていき、美術室にたどり着いた
ドアをノックすると
「はい?」
そんな声が聞こえて、思わずビクリと体が揺れる
先生、いるんだ
私がドアを開けられないでいると、しばらくしてドアが開かれて
先生は私を見てそのまま固まった
「……遠野?」
「…………こんにちは」
そう呟いて顔をあげると先生は戸惑ったように私を見つめる
「いきなり、押しかけてごめんなさい」
「いや…入るかい?」
そう問われて頷く