先生の手が触れる時


私は父の家を後にすると
学校に向かった

行く場所はもう決めてる

「………」

廊下を歩いてるとブラスバンド部の音が聞こえる
校庭では陸上部が声を出して走ってる

私はそんな風景を見ながら階段を上っていき、美術室にたどり着いた

ドアをノックすると

「はい?」

そんな声が聞こえて、思わずビクリと体が揺れる

先生、いるんだ

私がドアを開けられないでいると、しばらくしてドアが開かれて
先生は私を見てそのまま固まった

「……遠野?」
「…………こんにちは」

そう呟いて顔をあげると先生は戸惑ったように私を見つめる

「いきなり、押しかけてごめんなさい」
「いや…入るかい?」

そう問われて頷く

< 310 / 342 >

この作品をシェア

pagetop