先生の手が触れる時
美術室を後にして、自分の家に向かう
あまり遠くないのですぐに着いた
ふと窓を見ると灯りがついていて、思わず速くなる動悸を抑えるようにぎゅっと胸に手をあてる
大丈夫。
怖くない。
そう言い聞かせて、自分の部屋に向かった
「………ただいま」
ドアを開けて小さく呟けば、リビングから父が顔を出す
「遅かったな」
「…ごめん」
「それで、どうしたんだ?こんな夜に呼び出して」
お父さんはそう言うと、ゆっくりとした足取りで近づいてくる
今までずっと見ないようにしていた父の目を正面から受け止めた
するとお父さんはハッとしたように足を止める
そのまま何かに堪えるように手を固く握りしめると切羽詰まったように私の腕を捻りあげた
「………そんな目で……そんな目で…俺を見るな!!」
「っ…痛っ…」
「どうしていつも…お前は俺をそんな風に見る?お前は…お前はっ!」
そのまま投げ飛ばされ、近くの壁に背中を打つ。
苦しい、痛い
視界がどんどん歪んでいく
でも
ここで逃げるわけにはいかない