先生の手が触れる時
俺が片手で頭を抑えて考えを巡らせているといきなりドアが開いた
「先生!」
大きな声で駆け込んできたのは深山だった
「み、やま……」
血の気が引いていく
嫌な予感がどんどん広がる
俺はドアに手をかけて息を切らしてる深山の肩を掴む
「今、お前の家に凪いる?……なぁ!いるんだよな?!」
「………っ」
深山は息を飲んで、ゆっくり首を横にふった
「!」
なんで、お前は…
いつもそうなんだ…
深山の肩から手を離し、床を見つめる
「……凪の家に…今、父親がいる……あいつがここを出てってから……そんな経ってない…電車やら乗ってたら…まだ着かないはずだ」
「さっき…私のとこに、凪からメール来てて…ごめん、ありがとうって……」
「っ!」
俺が顔をあげると、涙を流す深山がいた
「……先生……もしかしたら、凪……このままいなくなっちゃうかもしれないっ」
「……くそっ!」
俺はそう吐き捨てて、急いで職員室から自分の荷物を掴みとり客室に戻る