先生の手が触れる時

「おい、深山!お前はその子を頼む!」
「……え、でも!凪は?」
「…凪は…」

俺は深山の不安そうな瞳を見つめる

「俺が連れて帰る」
「っ!」

深山の頭にぽん、と手をおき走り出そうとすると
深山の声が背中に届く

「…先生!凪が…先生フッた理由は凪のお父さんが凪と先生の関係に気づいて…先生を訴えようとしたからなの!」

その言葉に目を見開く

俺を、訴えようとした?

「…凪は先生を守ろうとしたの!…だから、お願いっ……凪を助けて……」

そういう…ことか。
まったくあいつは、なにやってる…

いや、文句はあとでいい。
まずは
あいつを連れて帰ることが優先だ

「……必ず戻る」

俺はそう言うと、走り出して車に乗り込む
車を出してすぐに携帯で信に電話をかける

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