先生の手が触れる時

それから私は一人で部屋に入り
ベッドに腰かけた時、調度ドアがノックされた

「……はい」

私が返事をするとドアから姿を表したのは先生だった

「あ……」
「二人とも、優しいだろう?」

先生は笑いながら私の横に腰かける
先生の重みも加わってベッドが深く沈む

先生が、今、隣にいる
それだけで胸が締め付けられるように苦しい

「………」

少しのあいだ沈黙が流れた
その沈黙をやぶったのは先生だった

「…凪………」

びくり、と体が動く

そっと先生の顔を覗けば優しく困ったように笑う先生

「……もう一度、言うから良く聞いて」
「え?」

思わず問いかけると先生は優しく私を引き寄せる
先生の匂いに包まれて涙腺が緩む

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