先生の手が触れる時

「……俺は、凪が好きだ。言葉なんかじゃ言えないほど…足りないぐらい、君が好きだよ」

先生の少し低い甘い声が私の耳元をかすめた

夢じゃ、ない?

そう聞きたいのに出てくるのは嗚咽だけで
言葉が出ない代わりに先生の背中に腕を回した

私も、好き。

大好き。

そんな、言葉じゃ足りないほどあなたを思ってる

そう思いを込めてただ、ぎゅっと先生の胸に顔を埋める

もっと気持ちを伝えたいのに…

「……せ…んせ……先生…好き……あなたのためなら…全部を捨ててもいいぐらい…」
「………もう、頑張らなくていい…もう泣いていいんだ」

先生の優しい声にさらに涙が溢れた

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