先生の手が触れる時

「……あ…っ…あぁ…」
「…良く、頑張ったな……遅くなってごめん」

先生はそう言うと、抱き締める腕に力をこめる


暗闇にいた私を先生は救いだしてくれた

この私を抱き締める手は
優しく私に触れる手は
魔法みたいにキャンバスに生きた絵を書く手は

いつも私を支えてくれていた

先生、ありがとう


「おかえり、凪」

先生は小さくそう呟くと、そっと体を離しておでこにキスを落とす

私が思わず目をつぶると

涙を優しくぬぐい、先生はそっと唇にキスをした

触れるだけの優しいキス

でも、とても愛しい、キス




「ただいま、雪夜」





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