先生の手が触れる時
「失礼しまーす」
「……おー」
先生は調度何かを描いていたみたいでキャンバスから顔をあげる
「…なに、書いてたんですか?」
「見てみな」
先生は少し得意気に笑って、キャンバスを指差す
するとそこには、暗闇に沈んでいく女の子の伸ばされた手の先にいくつもの手が伸びていた
そして落ちていく暗闇の方には微かに優しい光が灯っている
「………っ……」
あの日と同じ、何かが込み上げてきて思わず涙を流してしまう
いったい、私のなかにはどれだけ涙があるんだろう
先生は優しく私の頭を撫でるとそのまま自分の方に引き寄せた
「…また、泣いたな…」
「……だって…」
先生は頭にのせた手をそっと私の手に重ねる