先生の手が触れる時

「ねぇ、先生……昨日、お父さんから手紙が届いたの」

私は絵を見つめながらそう呟いた

「……なんて、書いてあったんだ?」
「…しばらく、遠くに行くんだって。いつか会いに来るから待っててくれって。それと先生にすみませんとありがとうって伝えてほしいって」

手紙の内容を口にすると、先生は少しだけ繋いだ手に力を込める

「……そうか…」

先生はそれだけ言うと優しく微笑んで私の方を向いて頬をなでた

また、困ったように笑ってる

そう思い私も、先生の頬に手を伸ばす


「……先生。そばにいてくれてありがとう」


そう口にすると自然と泣きそうな気持ちになる

「…いつだって、そばにいるよ。これからもそばにいる…」

先生は眉を下げながらそう笑うと
私にキスをする


先生。
これからも二人で、歩いていこう

きっと喧嘩もするだろうし
沢山の壁にあたってしまうかもしれないけれど
迷ったときは先生の伸ばされた手を探すから


「……さ、コーヒーでもいれようか」


そう微笑んだ先生に微笑み返す


「…はい!」


伸ばした私の手が先生の手に触れるとき

きっと私は、笑えている




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