先生の手が触れる時


私は今日、結婚する

バージンロードは信さんに歩いてもらう予定だった

少し緊張しながらゆっくり入場のドアへ歩いていく

遠くに愛しい人が見えた



「……雪夜…」



そう声をかけると、かつて私の先生であり今日まで恋人であった緑川雪夜がふりむく

「凪…凄く綺麗だ」

先生は少し照れくさそうにはにかむ

そんな雪夜も灰色の燕尾服に着替え、とてもカッコいい

ふと、信さんがいないことに気づく

「信さんは?」

そう問いかければ、雪夜は困ったように微笑み後ろを振り返った



私もつられてその視線を追う





< 340 / 342 >

この作品をシェア

pagetop