先生の手が触れる時


そういって雪夜はドアの向こうに消えていく
そして私とお父さんもドアの前で腕を組む

「……何度も、ここを歩く資格はないと断ったんだが…」
「……雪夜、頑固だから…」
「そうだな」

そう私が笑うと、父も頷きながら笑う


そして

ドアがゆっくりと開かれた

「お父さん…ありがとう」
「………泣くな、凪。凪は良い子だろう」


そう父が前を向きながら呟く

昔と同じだ…
優しいお父さんの声だ。

お母さん、見てる?
私はもう大丈夫だよ

私は泣きそうになるのをこらえて表情をひきしめて頷いた

そして少し先にいる愛しい人の元へ


一歩、踏み出した




END

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