先生の手が触れる時



「あ」

俺は思わず握っていた両手を離す

「……担任の、先生ですか?」

そういって、入ってきた遠野の父親は
きっちりスーツを着て、いかにも仕事ができそうな雰囲気だった

「いえ、美術の教師です。凪さんを保健室に連れてきました」
「それはそれは、ありがとうございます」

そういって頭を下げる父親。
遠野をちらりと見ると父親を凝視してる

「凪、大丈夫か?」
「っ!」

父親は俺の横をすり抜けると遠野のそばにいき肩を抱く

おれはその行為に少し違和感を覚えた
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