先生の手が触れる時

「俺は…君を救いたい」


その言葉に視界が滲む

「俺は遠野を…助ける。暗闇から引きずり出してやる。すがり付く場所になってやる。だから」
「……なに、いって……先生…変…」

滲む視界のまま笑ってごまかそうとする
先生の温かい手が優しくでも戸惑うように私の手に触れる

「……もう…笑わなくていい」

涙が溢れる

「……はは…は……ーーっ……くっ…ふ」

笑いながら、段々と涙は溢れてきて
うまく息が出来なくなる

「どうして先生は……私の欲しい言葉が…わかるの…どうして……気づいちゃうの」

流れる涙を拭おうとするが
涙は止まることなくどんどん溢れる
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