先生の手が触れる時


「……遠野」
「……う……くっ…」

私はどんどん溢れる涙を手の甲でおさえる
それでも手の間から
腕をつたって
涙が床に落ちてシミを作っていく

「………遠野」

先生は握っている手に微かに力を入れると
ゆっくりその手をひきよせた

そのまま私は倒れ込むように先生の胸に倒れこむ

今度はもう先生がバランスを崩すことはなかった

「………せん…せい」

遠慮がちに先生の長い綺麗な指が手から私の腕に触れ、そのまま背中に回される


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