先生の手が触れる時


「……遠野。良く聞いて」

先生の綺麗な手が肩を包む

「………俺は、君が好きだ」
「………っ」

先生の言葉が遠くに聞こえる
わたし、夢見てるのかな

でも、先生から伝わる温もりと
先生の心臓の音と
私の心臓の音が
現実だとそう教えてくれる

「……夢、じゃない?」
「そんなわけ、ないだろう」

先生が少し笑いながら言う

先生の色のついた白衣に顔をうずめた

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