先生の手が触れる時


「教えてくれ…その傷は…」
「……今は……言えない…」

そう言うと先生は困ったように眉をまげる

「どうして?」
「………先生に…迷惑かかる」
「なんで?」

父が…その言葉が出そうになって飲み込む。

「………ごめんなさい…今はまだ言えない」
「………そうか」

先生は息を吐き出す
嫌われた…のかな。
そう思い目を閉じて下を向くと
先生の手が私の頭を撫でる

「…わかった。ゆっくりでいい」
「先生…」
「少し、焦った。ごめんな」
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