先生の手が触れる時

「先生の描く絵って命があるみたい」
「命?」

先生が首をかしげる

私は机につっぷしながら先生の絵を見つめる

「……この手が、命を吹き込んで、真っ白なキャンバスにどんどん彩られてく」
「…そうかな」

先生は少し悲しく笑う

「先生……」
「ん?」

先生は鉛筆をおいて優しく笑う 
私は顎を机に置いたまま目線だけ先生に向ける

「……今度、私の絵書いてくださいよ」
「はぁ?」

先生は驚いたような顔をして、顔を歪める

「書いてください」
「……人物画は…得意じゃないんだけど」
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