先生の手が触れる時
先生は困ったように笑うと
私の長い髪を一房とって、さらさらとおとしていく
「……くすぐったい」
「ははは」
目を細める私の頬を撫でて
先生はまた絵を描き始める
その真剣な横顔をみてぽつりと呟く
「……先生、ありがとう……」
「……え?」
「ううん、なんでもないです」
不思議そうに先生は私を見るけど
すぐにまた絵に集中しはじめる
私も先生の横から絵の前に移動する
「……」
もし、私がこの絵の女の子なら
手を伸ばしてすがったのは先生の手だ。
先生の綺麗な
命を吹き込む手が
私にも命をくれた
だから、ありがとう。先生。