ビターチョコレート
「まだ…帰らないで…」

「へ?」

彼は驚いた表情でこちらを見る。けどすぐにニコリと笑って

「甘えん坊さん?」

と私の顔を覗き込んだ。

そのせいで私の体温は一気に上昇して頬が火照るのが自分でも分かる。
暗くて良かった…。なんて思ってたら…

ぎゅーっ

「ねえ、聞いていい?」

急に瀬戸に抱きしめられて動揺した私はコクリと頷くことしかできなくて。

「そんな可愛いこと、他の男にも言っちゃうの?」

チラッと彼の顔を見る。切なそうな表情に見えた。

「瀬戸が初めてかも…。」
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