愛されたガール

「ふんふん」

切り終わった食材たちは一旦ザルの中に入れておきます。タクミさんの家の台所は狭いので、そうしないと作業台は直ぐに埋まってしまいます。

「タクミさん、椎茸とってください」

冷蔵庫を開けたついでにと、タクミさんに椎茸を取るように要求します。

すると、タクミさんの口元がへの字になりました。タクミさんは椎茸があまり好きではありません。でも、好き嫌いはいけないと思うのです。

「椎茸ください」

気づかないふりをして再度要求すると、パック詰めされた椎茸を渋々取ってくれました。思わずでれっと頬が緩みます。

上機嫌になって椎茸を切っていると、タクミさんは台所の上の棚を開けて、土鍋を取り出しました。

「ん」

小学生顔負けのおチビの私は踏み台がないと土鍋がしまってある棚に手が届かないことを知っているのです。

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