すずめ日記
「幸子。先生がお前やっても、やっぱり悩むと思う。

でもな、やっぱり先生は抜くと思うねん。
障害持ってる人に対する優しさは、特別やからって気持ちで手を抜くことやないと思う。
もし運動会当日、お前が芳樹を抜いたら、『あの子はなんて子やろう』って思われるかもしれへん。

だから、先生は自分の考えをお前に押し付ける気はない。
お前が悩んで、悩み抜いて出した結果に従って行動したらええ!
先生はお前が芳樹を抜いても抜かへんでも、お前のことを誇りに思うから」



幸子は大粒の涙をこぼし、泣きながらも大きくうなずいた。



運動会当日。
朝、幸子に声をかけた。


「幸子、どや? 結論出たか?」


幸子は自信なさげに、小さくうなずいた。



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