すずめ日記
頭の中を買って帰っても……。

忘れられない思い出がよぎる。


島原農業高校の先生が、丹精こめて学生さんたちと育てられたポインセチアの鉢。

ある日、鉢からはずされ花壇に、その姿があった。



なんで?
誰が鉢植えを植木にしたん?


身内のしたことを喧しく咎めることもできず、悔しさとやるせなさと、何故?一言の声かけがなかったかが悲しかった。


以来、ポインセチアに限らず、鉢植えの花は買えなくなった。



小さな花にも、そこに咲く命の光がある。


自ら置かれた場所で、環境で懸命に美しく咲こうとする花たちの健気さが好きだ。


どこでも逞しく育つ命もあり、置かれた場所でしか育たない命もある。


同じ命でありながら、強い弱いも色も形も様々で寿命も違う。


< 73 / 113 >

この作品をシェア

pagetop