神様に恋をした
しばらく歩くと木々の先に小さな住宅街が見えるようになった。

すると少年は少女を下ろした。
随分歩いたので少女の足の痛みも大分引いていた。

「さぁ、早くお帰りなさい。きっとご家族も心配しているだろう?」

「玉藻にーちゃは?」

「僕のことなら気にしなくていいよ。ほら君の名を呼ぶ声がする」

確かに耳を澄ませると少女の名を呼ぶ少年の声が当たりに響いていた。

「……玉藻にーちゃ、また会える?」

「君が望むのなら。ただ僕に会いたくなったらこの森へおいでなさい。僕は何時でも此処にいるから」

少女はその言葉に少し疑問を感じながらまた会う約束をして家族の元へ走っていった。



さらさらと流れる少女の黒い後ろ髪を見ながら
少年は呟く。

「……璃桜、また貴女に会えた」





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