日賀國物語
日賀家の敷地は広い。無駄に広い。
山を一つ所持していて、山の麓には森が広がっている。と言ってもちょっとした森だけど…
勿論、手入れはされているから危険な動物はいない。
そして森を出たところに家がある。

森を山の方に抜けるとそこに大きな蔵がある。
その中には、大事な花瓶だの宝刀だの、書物だのがたくさん詰まってるのだ。

「ふぅ…この家本当に広いわ」

家を出て30分。
私は、森の中を歩いていた。
蔵に行くため、山を抜けるのだ。

外は少し寒かった。
山の方にはまだ雪が積もっていたし、溶けるのはもう少し先だ。

森の方もちらほらと雪が溶けきっていないところがある。

「やっぱり春とは言え、カーディガン一枚じゃ寒かったか…」

若干震えながらも家に戻ることを考えたが、戻るのにまた30分掛かると思うと止める事にした。

この季節は良く晴れている方が寒い。
昨日も良く晴れていたから、放射冷却されたんだろう。

ちょっと知的なことを考えながら、道をさくさくと歩く。

もう30分歩くと、ようやく蔵が見えてきた。
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