私だけのキミ。
柊斗はサッカー少年だった。

幼稚園生のサッカークラブでエースの座を握っていた。


あれは確か、夏の試合だったと思う。

4歳チームで試合があってたのを、私は親に連れてかれて見に行っていた。

もともと柊斗に「絶対見に来て!!」と言われていた試合だったし自分として見に行きたかったからよかったんだけど。

「柊ちゃん頑張れ!!」

何度もそう叫んだのを覚えてる。

そっか、まだあの頃は柊ちゃん、結愛ちゃん、なんて呼んでたっけ。



試合開始からすぐに、柊斗は主導権を握った。

しゅうとって名前だからか、果敢にシュートを放ってゴールを決めていく。

ゴールが決まる度、柊斗は必ずこっちを向いた。

こっちを向いて、両手でピースを作りながら

「僕、やったよ!!」

って言うみたいに笑うあの顔が、忘れられなかった。

最初の一試合だけで、彼は6度もあの笑顔を見せた。




コートの中を駆け回る柊斗は、その時から輝いていた。

小学校に入ってもそれは変わらなかった。

次第にゴール後のリアクションは薄れていったけど、それでも変わらず「サッカー少年」だった。

私はそんな、サッカー少年が好きだった。
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