【年下彼の恋愛事情】
「ありがとうございました、またお越し下さいませ」
感謝を込めて、深々とお辞儀をする。また、来て頂けるように。
頭を上げてお客様を見送ると、店内の香水ブースから「すみませーん」と声が聞こえた。
はい、と声をかけてきた方へ行くと、そこには制服を着た可愛らしい女の子。
彼女はメンズ香水が欲しいそうで人気商品を聞いてきた。
「こちらが一番人気で若い方の支持率が高いですよ。」と香りのサンプルを渡す。
「・・・・・・あ、いい香り」
「トップで香るのはりんごに近いフルーツの香りで、誰でも好みやすいフレグランスなんです」
彼女は香りがよっぽど気に入ったのか何度も鼻に近づけては、いい香りと呟いた。
「じゃあ、これにします」
「ありがとうございます、新しいものをレジまでお持ちします」
「あの、ラッピングってやってもらえますか?」
「はい、少々お待ち下さい」
ラッピングの最中、彼女はずっとそわそわしていて、緊張してるような表情だった。
「プレゼントですか?」
そんな彼女に声をかけた、これも接客のうち。お客様とコミュニケーションを取るのも大切なのだ。
「・・・・・・はい。か、彼氏に・・・・・・」と、頬を赤らめる。
あー。可愛らしいなあ。彼氏にプレゼントって、なんて可愛いんだろう。
私は誰かに、顔を赤くしてプレゼントを買ったことなんてあったっけ?
いや、多分ない。覚えてないだけかな。
自分と彼女を比べながら、手を動かす。最初は苦手だったラッピング作業も今では得意とまで言えるようになった。
「はい、お待たせしました。彼氏さん、喜んでくれるといいですね」
「はい!ありがとうございます!」
彼女は満面の笑みで、ブルーの袋に大きなリボンの付いたプレゼントを大切そうに抱えて帰って行った。