【年下彼の恋愛事情】

誰かの為に悩んで、さっきまでは緊張してるように見えたのに、最後には笑顔になって帰っていく。

笑顔で帰っていくお客さんを見るのが、一番嬉しい。この仕事のやりがいを感じる時。


彼女の想い、ちゃんと彼氏に届くといいな。









そのあと、数人のお客さんのお会計が終わって、もうすぐで休憩時間になる時だった。



ショップの入口から少し大きめな、騒がしい声が聞こえた。




「なあ、頼むってー、すぐ終わるから!春人ー!」

「嫌だ、俺行きたくない」

「一人じゃ恥ずかしいじゃんかよお!」

「お前と一緒にいる俺が恥ずかしい・・・・・・ちょ、おい、引っ張んなよっ」




店内に入ってきたのは、若い男性組二人。

一人は金髪でピアスが何個も付いている、一言で言うならば、チャラい。

もう一人は傷むことを知らないような綺麗な黒髪で毛先だけワックスで弄っている。

どちらも世間ではイケメンという部類に入るだろう。


どうやら金髪の彼が嫌がる黒髪の彼の手を引いて入ってきたみたい。

私服は大人っぽくて私と同じ二十歳手前か前後くらいか・・・・・・まあ、若い男性がコスメショップに来るのは珍しくない。


メンズものの香水から整髪料、最近ではメンズ用のスキンケアグッズまで発売されているから、むしろ男性の利用客が増えてきている。

あとは、大半が彼女への贈り物。

男性は女性のコスメ分からないと、よく相談される。



「なー春人、こっちとこっち、どっちがいい?」

「そんなん自分で決めろよ」

「えー」


どうやら金髪の彼はどの香水にするか決めかねているらしい。顎に手を当てたまま考え込んでしまった。

黒髪の彼は、興味がないのか携帯をいじり始めてる。



・・・・・・ここは、販売員の私の出番かな。




「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」







< 3 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop