【年下彼の恋愛事情】
「どうした、春人」
「なんでもねえって」
何だったんだろう、今の。それにしても、瞳綺麗だったな。
「お買い上げありがとうございました」
「お姉さん、また来るねー」
「・・・・・・」
手を振る金髪の彼と、最後にチラッと無言で私を見てそそくさと歩く彼を
最後くらいはと、接客で磨いた笑顔で見送った。
何人ものお客さんが訪れる中、彼らもまた一部でこの時は、これが彼らとの出会いだとは一切思っていなかった。
「休憩戻りましたー」
彼らと入れ替えで店内に入ってきたのは、ブラウンのロングヘアーに緩いパーマをかけ、その綺麗さで一際目立つ存在感がある一人の女性。
私と同じ高卒で働く同期の下田ユメ。
ユメとは中学からの友人で、奇跡的に同じ職場で働くことになった。
「ちょっと、裏から入ってきてっていつも言ってるじゃん」
「あ、ごめーん」
従業員はお店の裏から出入りするのが規則なんだけど、鍵の開け閉めや通りが狭かったりいろいろ不便で、お店の入口を利用する従業員も少なくない。
ユメは常習犯だ。
「それよりさ、今お店から出てきたイケメン二人組は何なのよ!」
何なのよって言われても・・・・・・
あ、忘れてた。ユメは相当なイケメン好きだった。
「お客様だよ、プレゼント買いに来たみたいよ」
「ちぇ、彼女持ちか、残念」
ユメは男性の理想が高いらしく、今は彼氏はいないそうで毎日出会いを探してるらしい。
イケメンを見る度に食らいついてる、ほとんど全滅らしいけど。