【年下彼の恋愛事情】

2.謎の常連客


イケメン二人組がきて、彼女にプレゼントを買ったはずの金髪の彼から軽い誘いの言葉をもらい、黒髪の彼から顔面をまじまじと見られる。

そんなことがあってから、数週間。
4月もあと少しで終わり、ゴールデンウィークを控えたある日のこと。

ショップにはいろんな人が来るし、いろんな人を接客する。

もちろん、中にはクレームだったり変な事を言ってくる人もいるわけで。

彼らのことが徐々に記憶から薄れかけているときだった。





おかしい。なんかおかしい。


「あらー、また来てるね、あの子」

「あ、本当ですね。やっぱり従業員の知り合いでしょうか?」


心配そうにショップの入口を見つめる佐藤さん。

そこには、びっくりするほど制服を着こなし、その長身と綺麗に整った顔で女子が放って置かないだろう、男子生徒が立っていた。

ここ最近、二、三日おきにやって来ては、ショップの入口付近にある死角になる壁に寄り掛かって、誰かを待っているような佇まいの男子生徒。

夕方になると現れては、時折店内を見て、携帯を見たり、そわそわしていて。


最初は従業員の弟さんか知り合いだと思ってたけど、誰一人あの男子生徒を知らないらしい。

佐藤さんが言うに、犯罪的な行動はおろか、営業の邪魔をすることも一切無く、お店側には害がないため、彼の好きにさせてるという。


「でもあの子、時々あなたのこと見てるわよ」

「えっ、怖いこと言わないでくださいよ」


知り合いに男子生徒なんていないし、いたとしても彼の顔は見たことないし。

そもそも、見られる理由が分からない。

待ち伏せ?ストーカー?でも、そんなことされるような覚えもない。


< 7 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop